今昔物語 齊藤佳穂 VOL.4

高校は仲の良い友人と一緒の近くの女子校に入学しました。
中学も併設している学校で、中学から進んでくる子と高校から入学する子が半分位ずついました。
校則は厳しく、寄り道や買い食い、アルバイト、携帯電話の持ち込み、髪を染めることやお化粧も禁止されていました。
今ではよく耐えられたなと思いますが、たまにドキドキしながら友人と寄り道をするくらいで、校則をゆる~く守りながらぬくぬくと過ごしていました。

女子校のため共学では珍しい女子サッカー部があり、幼稚園のころサッカークラブを断念していた私は興味を抱いていました。
しかし、運動が苦手なので別の部活にしようかな...と友人に話していたら、突然「〇〇に伝えなきゃ!」と手首を掴まれ別のクラスに引っ張っていかれました。
なにが起きているんだ...??と状況を掴めずにいると「この子サッカー部気になるんだって!」とサッカー部の部長に紹介され、澄んだ瞳でみつめられながら「ありがとう!!」と両手を握られていました。

後から話を聞くと、2人とも中学からの内部進学で、部長が中学3年生のときにサッカー部を立ち上げたそう。
部員が少ないんだよね...という話を聞いていて、興味を持っている人がいる!!と部長の元へ連れていってくれたそうでした。

そうして入部することになった部活は、当時は同好会で部員が5人。
サッカーは11人でやるスポーツなので、半分以下の人数でした。
試合をするなんて、夢のまた夢。
活動は週に2回で、パス練習を主に楽しく活動していました。

高校2年生になると顧問の先生が変わり、そこから部活の雰囲気がガラッと変わっていきました。
ゆるく楽しい部活から、試合に勝利するための部活へ。
放課後はほぼ毎日練習になり、練習前に毎回校庭を10周し、試合を最後まで戦える体力作りをしていきました。
学校のグラウンドは狭く、サッカーコートを作れる広さはなかったので、先生がいろんな学校に連絡してくださり、休日は他校で練習試合や合同練習をさせてもらうこともありました。
周りに迷惑をかけないことを信条としている私は、運動ができないことで足を引っ張らないようにと、朝早くに登校して1人秘密の特訓を行っていました。

高校3年生の最終学年になると、部員はようやく試合のできる11人が集まり、初めて大会に出場することになりました。
慣れない大きなグラウンドでの初めての大会は緊張も強く、思うように動けずに、大きく点差をつけられて負けてしまうこともありました。
しかし、厳しい練習や熱心な指導の結果、なんとか1勝を収めることができました。

この頃の経験が私の人生に大きな影響を与えてくれました。
入部のきっかけを作ってくれた友人、サッカー部の仲間、導いてくれた先生方には感謝してもしきれません。

一方、それを過剰に信奉してしまい、頑張るのが善で休むことは悪という思考も根付いていくのでした。

次回はアルバイトに勤しんだ大学生時代のお話しです。



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