更新日:2018.07.02
執 筆:整体師 荒木晶子
カフェインには覚醒作用があり、とることにより当事者が疲労しているか否かに関係なく活動能力を向上させてしまいます。
そのため、コーヒー、紅茶、お茶、コーラ類、ドリンク剤などを飲むと、その後にスッキリしたりシャキッとしたりする感じがします。
しかしこれは、カフェインが自律神経の交感神経を強制的に働かせることによる危険な効果でもあるのです。
つまり、「自律神経の自然な働き」を乱してしまうのです。
カフェインをとると眠気や疲労感が取り除かれ、注意力が上がるように感じます。
しかし、これは疲労を回復させているわけではなく、交感神経を無理やり働かせることにより、疲労を感じさせないようにしているだけなのです。
疲労は、痛み、発熱と共に「三大アラーム警報」と言われており、気付かなければ人体に甚大な影響を及ぼし、対処しないでいると死んでしまうほど重要な警報なのです。
疲労とは、「自律神経(体)と心と頭が軽く障害を起こしている状態」を回復させようと、休ませるために起きる現象なのです。
疲労しているときは、アンモニアが脳や体に溜まっていたり、生きるために必要なエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を作ることができない状態だったりします。
そのため、これ以上アンモニアが溜まったり、ATPの生産ができなくなったりしないように、脳や体を休ませようとしているのです。
休んでいる間に、疲労の元であるアンモニアを血液が肝臓に運び、肝臓で分解して最終的には体の外に出したり、各細胞に酸素を供給してATPの生産を促したりすると、疲労がなくなりスッキリとするのです。
つまり、疲労を感じないようにするカフェインを多用することにより、自律神経が乱れてしまい、体が危機的状態に陥り、最悪の場合は死に至ることもあります。
また、多用していると、効き目が弱まった時に虚脱感を感じるようになります。
これは、今まで溜まっていた疲労を全て感じることで起こるのです。
敏感な人は落ち着きのなさ、不安感、吐き気、頭痛、筋緊張、不眠を感じることもあります。
研究者の間では、一般的にカフェインは不安を生成する物質とみなされています。
そのため、摂取することでアドレナリンが増加し、興奮、緊張、恐怖、心拍を強く速く、呼吸を早くし、不安や不眠を生み出すと言われています。
アメリカ精神医学協会の『DMS−Ⅳ』という専門書には、カフェインが引き起こす不安障害は、コカインなどの抗精神性物質と同じようにパニック障害や全般性不安障害、社会恐怖症、強迫神経症に似たものまで含んでいると記載されています。
また、濃いコーヒーを1杯飲んだ後は、自律神経が乱れていますので、眠りにつくまでに通常の4倍の時間が掛かるとされており、不眠にも深く関連しています。
更に、筋肉が緊張し、興奮により眠りが浅くなり、寝返りも増えます。
50歳以上の実験では、夕方以降のカフェイン摂取で睡眠時間が2時間減ることが明らかになりました。
まれに、不眠のみならず過眠にも影響すると言われています。
ドラッグのように反社会的行動を起こす依存を「臨床的依存症」と言いますが、その物質を止めた時に禁断症状が起こるだけの場合は「身体的依存」と定義されています。
カフェインには、この「身体的依存性」があるため、突然止めると深刻な頭痛を起こすなどの禁断症状が出る場合があります。
典型的なのは頭全体がズキズキする痛みで、酷い場合は嘔吐や風邪に似た症状が伴います。
これは脳内血流の変化によるものですが、カフェイン摂取で和らぐため、つい飲みたくなってしまうのです。
禁断症状は通常数日で治りますが、中断後10日以上経っても散発的に起こるという人もいます。
カフェインの一般的な禁断症状には、次のものが含まれます。
など
他にも、抑うつがひどくなったり、不安感、意欲・やる気の低下などが報告されています。
カフェインが体の外に出るまで約12時間かかりますが、禁断症状は摂取を止めてから12~24時間後に始まります。そして通常24~48時間内にピークに達し、継続時間はおよそ2日~1週間にわたります。
中毒になっているかどうかの基準は以下の通りです。
A、直近のカフェイン摂取量が通常250mgを超過(コーヒー2~3杯以上)。
B、カフェイン服用中か服用後すぐに次のうち5つ(あるいはそれ以上)の症状が出る。
C 、Bの基準の症状のために、著しい苦痛や、社会や職場その他の重要な領域での障害が引き起こされている。
D、その症状が一般の身体の病気によって引き起こされたものではなく、他の精神疾患ではうまく説明できない場合。
アメリカ精神医学協会の『DMS-Ⅳ』(1994年)より
「不眠・うつ・不安・疲労などの原因になるカフェインの真実」