危険なめまいと自律神経

更新日:2015.08.07

執 筆:整体師 角道征史

危険なめまい

降って湧いたかのように、今までに経験したことのないようなめまい、グルンと目が回るといった事態に陥れば、それが誰であれ、「危険ではないか」「自分は大丈夫なのか」という不安に駆られることでしょう。

  • 急に目が回ってバタンと倒れる
  • 立ち上がることができない
  • 気分が悪くなり、吐いてしまう
  • ふらふらしてしまう
  • ずっと揺れている

・・・そうしたことを初めて経験したとすれば、今までにない異常事態が発生したことになるのだから。

では、そうした心配が適切であるといえるような、ほんとうに危険を孕んでいるめまいとは、どのようなものなのでしょうか。

神経血管系の問題

まず、緊急性、命の危険があるものとして、脳出血があげられます。
この場合、かつて経験のないほどの激しい頭痛、意識障害などが先に立ち、めまい以前の問題があるので、即救急車ものですね。

また、それ以外の脳血管障害でも、手足のしびれや、ろれつが回らない、力が入らない、ものが二重に見えるなどの状態が引き起こされます。

こうした神経血管系の症状を伴っている場合には、脳の問題が疑われるため、すぐに受診すべきでしょう。

ただ、実のところ、救急外来で見られるめまいの患者のなかで、命にかかわる危険なものは2、3%程度。
また、めまい外来を受診する患者では1%未満であると言われています。

初めてめまいが起こったときには相当動揺するかもしれませんが、むやみに恐れる必要はありません。

ただし、絶対に大丈夫、危険ではないとは言えないので、強い神経症状が出ていないか、めまい以外に只事ではないと思える症状がみられないか、しっかり確認することが大切です。
そして、症状があれば病院へ直行すべきでしょう。

さらに、大丈夫のようであっても、念のために脳神経外科を受診することが望ましいですね。

血圧の問題

また、血圧の問題にも触れておきましょう。

めまいが起こった場合、基本的には血圧に異状が生じています。
起立性低血圧の場合は当然低血圧ですし、それ以外の場合は交感神経が強くなっているため血圧は上昇します。

血圧が異様に高くなっているため、高血圧がめまいの原因と考えてしまったりしますが、多くの場合、交感神経が高まり、その結果として血圧が上昇しているだけなので、必要以上に不安にならなくてもいいでしょう。

めまいと自律神経

今まで見てきたように、めまいが起こる場合の原因を突き詰めて考えていくと、二つのことが挙げられます。

まずは前庭、前庭神経、脳に直接起こった障害や機能低下。
これは、実際に障害が起こってしまったものと、自律神経的にコントロールができなくなってしまったものになりますね。

次に、血流に問題が生じたための栄養不足で引き起こされたもの。
血管系の障害もそうですが、歪みや凝りによるものもこれに当たります。

ただし、これらの場合にも、自律神経によるカバーができなくなっていることも考えておく必要があります。

めまいとストレス

近年、ストレスがめまいに与える影響が注目されるようになってきました。

メニエール病のメニエール気質などは精神的なストレスを増幅させますし、歪みや凝りなどは構造的なストレスとなります。

また、脳の機能低下や自律神経によるからだの調節機能の低下は、ストレスレベルの増大によって引き起こされてしまいます。

本来、十全にからだの機能が発揮できていれば、

  • 血流の問題
  • 耳石の剥離
  • 内リンパ水腫
  • ウィルスへの耐性
  • 血圧調節

なども滞りなく対処され、めまいにまで発展するケースはかなり少ないのではないかと思われます。

ストレスの種類

  • 精神的なストレス
  • 構造的なストレス
  • 暑さ寒さのストレス
  • カフェインなどの化学的なストレス
  • 気圧の変化など、環境変化によるストレス
  • 水分や栄養の不足
  • アレルゲンや薬

など、ストレスには色々な種類があります。

こうしたストレスの蓄積で負担がかかり、許容範囲を超えてしまうことによって、自律神経のコントロールがうまくできなくなってしまいます。

今までは、たとえ負荷がかかっていたとしても、他のところでカバーできていたものが、負担が大きくなりすぎることによって許容範囲を超えてしまう。

そうすると、水分調節、血流調節、そのほか自律神経のコントロールが出来なくなってしまうんですね。

腰をカバーできなくなればぎっくり腰に、首なら寝違いに、神経なら自律神経失調症にということになってしまいます。

めまいへのアプローチ

めまいになるということは、めまいに関わる部分への負担があるということです。

脳腫瘍や、脳梗塞など、命にかかわるもののように障害が大きい場合には、直接そこにアプローチする必要があります。

しかし、そうでない多くの場合には、負担を減らす方向でのアプローチや、自律神経のコントロールを取り戻すこと、さらには脳を鍛えることなど、異なる形でのサポートが必要になってきます。

例えば、ストレスを減らすこと、目の体操など脳のトレーニング、そして自律神経のコントロールを取り戻すことが重要です。

以上、危険なめまいと自律神経についてお話していきました。

参考文献

  • 薬も手術もいらないめまい・メニエール病治療(日本めまい平衡医学会参与・監事 高橋正紘著/角川新書)
  • めまいを治す本(埼玉医科大学名誉教授 坂田英治、日本大学歯学部小児歯科及び目白大学保健医療学部言語聴覚科講師 坂田英明共著/マキノ出版)
  • めまいは自分で治せる(日本めまい平衡医学会専門会員、代議員 新井基洋著/マキノ出版)
  • めまいがわかる(埼玉医科大学名誉教授 坂田英治著/医学同人社)
  • スーパー図解 めまい・耳鳴り(神尾記念病院理事長院長、耳鼻咽喉科専門医 神尾友信著/法研)
  • 頭痛、めまい、耳鳴り、難聴は治せる(東京女子医科大学脳神経外科頭痛外来客員教授 清水俊彦著/マキノ出版)
  • めまいの正体(日本聴覚医学会顧問 神崎仁著/文春新書)
  • よくわかる頭痛・めまい・しびれのすべて(岩手医科大学名誉教授 東儀英夫編集/永井書店)
  • 臨床家のための基礎からわかる病態生理学(杏林堂院長代行 北川美千代著/医道の日本社)