更新日:2015.08.01
執 筆:整体師 角道征史
最近、めまいに苦しんでいるという話を耳にする機会がかなり多くなってきた気がします。
昨年のことですが、サッカー日本女子代表、なでしこジャパンの澤穂希が、良性発作性頭位めまい症のために、試合に出られないという事件がありました。
これはかなり話題にのぼりましたが、それ以外にもカンニング竹山や志村けんもめまいで倒れたということがニュースになっていました。
こうしたスポーツ選手やタレントなどの著名人のことでなくとも、身近なところでめまいに遭遇することも多いのではないかと思います。
一口にめまいと言っても、いろんな種類のめまいがあります。
そこで、それぞれのめまいに対して適切な対処を行うために、めまいが起こる原因と対処の仕方について考えていきたいと思います。
めまいにはいろいろな種類のものがありますが、もともと目舞いと書くように目が舞うような状態なので、
など、これらどんなものでも当てはまります。要は平衡感覚に問題が生じている状態なんですね。
だから、平衡感覚を司っているどこかしらの部分に何かが起こっているときに、めまいが発生してしまいます。
ぐるぐると天井や世界が回ってしまい、立っていられないようなめまいになります。
左右のバランスを取れずに起こるので、通常は片側の内耳の問題であることが多いですが、片側の脳血管に問題がある場合もあります。
ゆらゆらしたり、ふらついたりというようなめまいになります。
コントロールがうまく出来ずに起こることが多いので、脳の問題の可能性が高くなります。
とはいえ、脳腫瘍など重篤な障害であれば、めまい以上の症状が現れるのが一般的。
通常は脳の機能低下、自律神経の乱れによることが多いです。
ふわふわするようなめまいになります。
両側の内耳に問題がある場合や脳の問題のほか、動揺性めまいと同様、自律神経の失調によるコントロール不全の可能性が高いです。
いわゆる立ちくらみのように、目の前が暗くなる種類のものですね。
脳に血が足りなくなると起こります。自律神経失調症、出血性の病気などが考えられます。
では次に、こうしためまいがどこに問題が生じて起こっているのか、詳しく見ていきたいと思います。
人間の平衡機能は、
を、小脳でコントロールし、大脳で統轄しています。
そこからの指令によって全体のバランスを取ることができるようになっているんですね。
それでは、そのなかでも特に重要な、耳の奥にある前庭器の働きについて見ていきましょう。
わたしたちの耳の奥にある内耳は、聴覚を司る蝸牛と、前庭器にあたる三半規管、耳石器によってなりたっています。
このなかで平衡感覚に携わるのは、前庭器である三半規管と耳石器になります。
その名のとおり、三つの半規管(外側半規管、前半規管、後半規管)によって構成されます。
それぞれが直角に位置し、X軸、Y軸、Z軸のように対応して、三次元的な回転運動をすべて感知するようにできています。
具体的には、半規管の内部をリンパ液が満たし、有毛感覚細胞を含むクプラという繊維状の組織が、動きによって生じるリンパ液の流れの向きや速度を感知するようになっています。
そして、その情報が前庭神経を通じて脳へと送られます。
三半規管は、からだがどのように動いたかを感じとる器官であると言えます。
卵形嚢と球形嚢によって構成されます。
構造的には、有毛感覚細胞を包む耳石膜の上に炭酸カルシウムのかたまりである耳石が載っています。
動きが加わったときにズレが生じ、それぞれ上下方向、水平方向の加速度を感知するようになっています。
耳石器は、エレベーターの動きや、電車の動きなど、外部からの刺激を感じとる器官であると言えます。
三半規管と耳石器によって感知された動きの情報は、前庭神経から延髄の前庭神経核を介して大脳頭頂葉にある前庭知覚中枢へと伝わります。
それとともに、反射経路の信号として、脳幹に伝わって眼球運動の調節を行い、また脊髄に伝わって全身の筋肉の動きに影響を与えます。
さらに、自律神経中枢のある間脳、小脳、中脳などにも伝わって、からだ全体のバランスを維持するために働いています。
以上、めまいを治すための基礎知識についてお話していきました。次のページでは、「めまいの原因」についてお伝えします。
「めまい」