更新日:2017.06.07
執 筆:整体師 橋本静吾
「血糖値がコントロールできなくなる」では、血糖値の上がり下がりを防ぐ食事法についてお伝えしました。
この食事法の一つに、「タンパク質をとる」とお伝えしました。
そこで、このページでは「なぜ不足しやすいのか?」「必要量は...?」「多く含む食材」の3点についてお伝えします。
健康的な食生活を意識すると、野菜や果物をしっかり食べて、ビタミンや食物繊維をとるイメージが強いと思います。
実際、一日の推奨量350gの野菜を毎日食べられている人も少ないのでなるべく食べるよう心がけたいのですが、実は自律神経が乱れている方が野菜類よりも優先して摂取してほしいのがタンパク質です。
タンパク質は筋肉、骨、血液など体のほとんどの部位の元となる栄養素です。
その他にもセロトニン、メラトニン、ドーパミンなどの神経伝達物質やホルモンを作るのにも必要です。
そのため、不足すると自律神経が乱れるばかりでなく、神経伝達物質やホルモンが足りなくなり、以下のような症状が現れることがあります。
上記以外の症状もありますが、いずれも体が大量に欲しているタンパク質が充分に補給されないことが原因の1つとなっています。
厚生労働省のデータを見ると、タンパク質の摂取量は1995年から2010年まで年々減少傾向にあることがわかります。
この要因として、肥満対策やダイエットの流行・健康志向の向上などがあります。
日本では1960年以降の高度経済成長期に、欧米の食文化が浸透したことで高カロリーな食べ物を口にする機会がふえ、肥満という健康問題をかかえる人が急増しました。
同時に大人、子ども問わず運動する機会が減ったことも大きな要因です。
その際、食事制限の対策をすることで体重は減りましたが、それと同時に大事なタンパク質をとる量も減ってしまっているのです。
ですから、たとえダイエットに成功しても、自律神経が乱れて不眠症・頭痛・倦怠感などに悩まされる方も多いです。
「タンパク質が必要」と言われても、いったいどれくらいとればいいのか悩むところですよね。そこで、一日の必要量を簡単にお伝えします。
必要な量は年齢、体格、運動習慣によって違いはありますが、分かりやすい必要量の計算方法はこれです↓
自分の体重×1g(例:体重50kgの人であれば一日50g)
これが厚生労働省などでも推奨されている一日量です。
胃腸に不調がない方は、なるべくこの量を目標に食事をとるといいでしょう。
最近では、加工食品に成分表が書いてありますので、ご覧になってみて下さい。
また、運動をたくさん行う方や、10代の育ち盛りの方は、この2倍の量を目標にしてもいいぐらいです。
しかし、自律神経が乱れている方の中には胃腸の調子がすぐれず、食欲がでない方も多いと思います。
そのような場合は、まずは胃腸を休めることが重要ですから無理に食べてはいけません。
食べられる時にはご飯やパンではなく、タンパク質を多く含む食材を選ぶように心がけます。
また、このような方は、「プロテインパウダー」やタンパク質を分解した状態の「アミノ酸」の状態でとることも胃腸に負担が少ないのでお勧めします。
動物性と植物性の2種類があります。
動物性 | 鶏肉、豚肉、牛肉などの肉類 |
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魚介、牛乳などの乳製品 | |
植物性 | 納豆、豆腐などの大豆製品 |
植物性と動物性ではそれぞれ異なる利点があり、動物性は吸収されやすいこと、植物性は脂質が少ないことが利点です。
タンパク質は普段から食べているものに含まれているので、ちょっとした心がけで摂取量を増やすことが可能です。
例えば、毎日の食事に1品目だけでもいいので、プラスしていきます。
自律神経失調症の方は、今までの食生活より少しでも多くタンパク質をとるよう工夫することから始めてみましょう。
その際、脂肪分は抑えたいところですね。
肉類は、タンパク質が吸収されやすいかわりに脂質も含んでいるため、食べ過ぎると肥満になってしまいます。
なるべく脂身の少ない部位を選んで食べるのが賢明です。
肉よりも魚の脂の方が体に優しいので、魚を積極的にとることもいいでしょう。
納豆、豆腐などの大豆製品は脂質が少なくヘルシーです。
このように、植物性と動物性の両方をバランス良く継続的にとることが大切です。
次のページでは、タンパク質をとる以外の自律神経の乱れを自分で改善する方法をお伝えします。
「自律神経の乱れと食事」