更新日:2016.05.23
執 筆:整体師 橋本静吾
健療院グループに来られる患者さんの症状には
など、病院で検査をしても特に問題がみつからないという方々がよく来院されます。
検査に異常が出ないため、医師に「気のせい」と言われ、困惑する患者さんもいます。
「自律神経失調症」と診断する病院もありますが、症状に応じた薬をもらうだけの治療になるケースが多いようです。
確実に症状はあるが、異常が見つからないことを不定愁訴(ふていしゅうそ)といい、動悸・めまい・息苦しいなどの多くの症状は、自律神経のバランスが乱れたために起きます。
体調不良のキーポイントとなっていそうな自律神経ですが、これらの症状とどのような関わりがあるのでしょうか。
健康な体を取り戻すためには自律神経をよく知ることがとても重要です。
今回は、自律神経がどこにあって、どんな働きをしているのか、そしてなぜ動悸・めまい・息苦しいなどの症状が起きるのかをまとめてみます。
患者さんの中には、症状の原因がわからないことで不安になり、その不安が大きなストレスとなって、更に症状を悪化させてしまう方がいます。
などと不安なまま過ごすと、体が常に緊張状態となるため、更に自律神経のバランスを乱すことにつながります。
これらの症状を改善するためには、まず自律神経のバランスが乱れていることを認識するということが大切です。
そして、何が原因で自律神経のバランスが乱れているのかを探しだし、原因を取り除いていくことが症状の改善につながります。
自律神経は、筋肉や内臓、ホルモンといった体の様々な器官に分布していて、生物が生きていく上で必要な作業を無意識のうちに行っています。
走ると心臓の鼓動が速くなることや、ごはんを食べると口の中に唾液が出てくることなど、意識しなくても自動的に起こるこれらの現象は、全て自律神経が調整しています。
起きている症状によって、体のどの部分で自律神経が乱れているのかを知ることができます。
自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、この2つがバランスよく働くことで体の調子を保っています。
交感神経は、興奮したり緊張するときに働く神経で、日中の仕事や運動のように、活発に活動するための神経です。
もう一方の副交感神経は、リラックスした状態を生み出す神経で、この神経が優位に働くことで睡眠を促し、疲れた体を回復させます。
ざっくり言うと、交感神経で活動して副交感神経で休むという仕組みです。
この2つの神経の切り替えは本来自動的に行われています。しかし、切り替えがうまく行われないと、様々な症状を引き起こすことがあります。
下の表は、体の各部分での自律神経の働きと、そのバランスが乱れたときに起こる主な症状です。
場所 | 交感神経 | 副交感神経 | 乱れると起こる症状 |
---|---|---|---|
瞳孔 | 拡大 | 縮小 | まぶしく感じる |
唾液線 | 減少 | 増加 | 口の中の乾燥、唾液が出過ぎる |
気管 | 広がる | 狭まる | 咳が出る |
心臓 | 速まる | 遅くなる | 動悸、息苦しさ |
血管 | 細くなる | 広がる | 冷え、内臓の不調 |
血圧 | 上昇 | 下降 | めまい、高血圧 |
胃腸 | 鈍くなる | 活発になる | 胃痛、腹痛、膨満感、食欲不振、消化不良、便秘、下痢、ガスが溜まる |
膀胱 | 排尿抑制 | 排尿促進 | 頻尿、残尿感 |
汗 | 分泌促進 | - | 熱くないのに止まらない |
以上、動悸・めまい・息苦しいなどの症状と自律神経の働きについてお話していきました。
「自律神経」