2019年6月開催 心と体の勉強会 音声テキスト No.2
No.1では、風邪と風邪薬を例に、自律神経の基本的なはたらきについてお伝えしました。
ここでは、頭と心と体がきちんとつながっていることの重要性についてお伝えしていきます。
先ほど「心と体がついていかない」みたいな話が出ましたが、私たちの体は「頭」と「心」と「体」が連結しているものなのですね。
体は、そのままボディーです。
心は簡単に言うと気持ち、あるいは感情です。怒ったり泣いたり、うらやましいと思ったり、悔しいと思ったり。楽しい、うれしいも感情ですね。
頭というのは、知識とかルール、価値観とか。
例えば、これら(頭心体)が同じ方向を向けば、気持ち良いし、健康なんです。
ところが今の社会というのは、これが同じ方向を向きづらいわけです。
頭が、ルールとか価値観が、すごく優先されてしまうんです。
例えば、先ほど「朝(早く)起きちゃう」という話がありましたね。
体が疲れていたら、そのまま寝続けたいんですけれど、起きちゃうということは、例えば「朝になったら起きなければならない」というその人の価値観だったりルールのもとで生きていると、いつの間にか「頭」が優先されちゃうんです、「体」が疲れていても。
わかりますか?言っていること。
そういうこと、ありますよね。あって普通ですから。
体は疲れているんだけど、体にムチ打ってやらなければいけないからやる、仕事もやる、そういうこともあると思います。
例えば、何か嫌なことがあったとしますね。イライラしてしまうような。
会社の上司に理不尽な叱られ方をしたとか、近所のおばちゃんから嫌味を言われたとか、親戚のおばちゃんからああだこうだ言われたとか…。
嫌なことがあったときに、感情が湧きますね。
イライラしたりとか、悲しくなったりとか。
そのイライラしたのを、その相手にぶつけるということはあまりしませんよね。
「そういうことは良くない」という価値観のもとで生きていますので、「心」より「頭」を優先してしまうんです。
こういうとき何が起きているかというと、本当は(頭心体が)つながっていないといけないんですけれども、つながりを遮断してしまうんです。
例えばイライラしているとき、体はどうしたいですか?
ものを投げつけたりとかしたいですね。
蹴とばしたりとかしたいですよね。
でもそういうとき、しないですよね。
心と体のつながりを遮断しているんです。
頭は「問題を起こしてはいけない」という価値観のもとで動いているんだけれども、心はイライラしたり悲しくなったりしているわけです。
体はイライラしてたら投げつけたい、悲しかったら泣きたいんだけれども、泣いてたら周りの人にどうしたんだろうと思われるし、大人になって泣くのは恥ずかしいと思うし、イライラしてたら「あの人大丈夫?」と思われちゃう。
だから、外には出さないでおく。
そんなふうに遮断が起きるんです。
ではどうやって遮断をするかというと、筋肉を緊張させて遮断をするんです。
人間の体の中で動力を持っているのは筋肉だけなんですね。
骨というのは体を支えてくれていますけど、この(部屋にある)パーテーションと同じで、材質として硬いというだけで、動力がないと動きませんね。
その動力は、人間の体の中では筋肉というかたちでしかないんですね。
感情のエネルギーを頭のほうにつなげたり、体のほうにつなげたりというのをグッと(筋肉が)止めるわけです。
止めないと、殴ったり、やっつけちゃうので。
なので、エネルギーが流れないようにするために筋肉をキュッとするわけです。
ちなみに具体的な(筋肉の)場所で言うと、心と頭を遮断する筋肉の場所は、「のど」です。
のどの「咽頭収縮筋」というのがあります。
これは自律神経支配なんですけれども。
この咽頭収縮筋というのが収縮すると…「頭」には言葉というのも含まれますが、言いたいこと、本当は「バカヤロー」とか言いたいところを言葉につなげないために、のどでブロックするんです。
咽頭収縮筋というのは筒状になっていて、縮まると、グッと(締め付けるように)なるんです。
そうすると、何かのどがおかしい…筋肉が収縮しっぱなしになって血液の流れが悪くなると、感覚がおかしくなってくるんです。
それで、のどの違和感が出る。
そして、当然のどには食べ物も入っていきますから、飲み込みづらいとなってきます。
のどには空気も入ってきますので、息苦しいというふうにもなります。
そういう症状が出てきます。
頭と体を遮断するのは、首の後ろの筋肉です。
肩こりとか首のこりとかも大体そうです。
怒っている人が怒らないように(我慢)しているジェスチャーをしてみます。
(肩を下げている人、上げている人)どっちがそのジェスチャーをしていると思いますか?
こっち(肩を上げている人)ですよね。
これは、「僧帽筋」という首の後ろの筋肉とか「頭板状筋」や「斜角筋」という筋肉とかをすごく緊張させてやっているわけです。
もう(力を入れすぎて)震えちゃったりとかしますよね。
こういうのが、筋肉を緊張させてブロックさせている状態です。
もうひとつ、心と体をつながないようにブロックしている筋肉というのが、「横隔膜」です。
横隔膜は何をするところでしょう?
そう、息を吸う(ときに働く)ところです。
だから、緊張するので、息苦しくなる。
横隔膜というのは筋肉です。
焼肉屋に行くと「ハラミ」という状態で出てきます。
とてもおいしいですよね、筋肉というのはよく動くところがおいしいんです。
カルビがおいしいのは、呼吸をしているからで、あれは「肋間筋」というところです。
横隔膜、ハラミがおいしいのも呼吸をして(動かしている)からです。
よく動くところがなぜおいしいかというと、代謝がいつも行われていて、筋肉に血液が行って、栄養素とか酸素を筋肉がいっぱいとるわけです。
そのよく動く横隔膜が緊張すると、息が浅くなります。
この三つの筋肉のブロックで、心と頭と体をつなげないようにしてしまうのです。
そうすると、人がいちばん感じられるのはここ(頭)なんです。
本当は全部感じているんですよ。
でも社会で生きていくと、ここ(頭)をいちばん働かせないと、生きていけないんです。
「あの人何?いちいち騒いで…」とか「あの人はすぐ怒る」とか、「あの人仕事中に泣くのよ」とか言われちゃうわけです。
そうしないために、頭を優先して理論的に、社会の価値観に基づいて、社会のルール通りに動く。
辛い満員電車に乗っても、騒がない。
そういう社会的な人というのはここ(頭)がすごく強固なわけです。
強固なうえに、ブロックも強固なんです。
そうすると、体や心というのが…心というのはエネルギーを生むところなんです。
体は、動かすためのエネルギーなんですけど、心は、何というか、向かう方向を位置づけるエネルギーを生むところなんです。
筋肉隆々の人でも、「私、生きる希望がないんです…」という人がたまにいるんですよ。
こういうの(心のエネルギーの部分)がつまり、「やる気」というものなんですね。
体のエネルギーというのは単純で、「酸素」と「グリコーゲン」というものなんです。
グリコーゲンは簡単に言うと「糖質」と思ってもらえればいいです。
糖質というのはそのまま糖質でとる場合もありますし、脂肪を分解して脂肪酸という形にして変換して糖質にしたり、タンパク質を糖質に変換させて使ったりということもあります。
(体のエネルギーは)酸素と、糖質なんです。
あとは、それが上手く動くようにビタミンやミネラルが必要なんですけれども。
こっち(心)のエネルギーは、向かう方向、自分が生きて向かう方向なんですね、やる気とも言えます。
つまり、ここ(心と頭のあいだ)にブロックがあったら、やる気が頭に行かないわけです。
だから、やる気が感じられなくなる。
(心と体のあいだに)横隔膜のブロックがあったら、酸素が行かなくなって(体の)エネルギーが低下してきちゃいます。
だから、これ(頭心体)をなるべくつなげていきましょうということが重要なわけです。
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