食のマネジメント

更新日:2021.01.29

執 筆:整体師 角道征史

今回は、体の脳の欲求であり、三大欲求の一つ、食欲に関わるお話です。
食べるということについて見ていきましょう。

食べることの意義

1.栄養の補給

食べることの目的の最も基本的なものです。
食べたいものだけを摂る(偏食)と、栄養の不足からさまざまな問題が生じてしまいます。バランスよく食べましょう。

2.幸福感の享受

人類の歴史の中では、現代のように食べるものに恵まれている時代は多くありませんでした。
そのため、飢餓から脱出し、効果的に栄養補給することを求めるように体はできています。
それが、美味しいものや甘いものを食べることによってセロトニンが分泌されるようになっている理由です。
食べることで幸せを感じられ、満足できるようになっているのですね。

3.ストレスの解消

ストレスを感じることで、エネルギーはかなり消費されてしまいます。
そこで、エネルギーの補給とともに、ストレスに抵抗するためにセロトニンを分泌することによって、気持ちや状態を安定させようとするのです。

4.咀嚼によるセロトニン神経の活性化

しっかりとよく噛んで食べることが、咀嚼というリズム運動を行うことにつながります。
このリズム運動はセロトニン神経を刺激するので、セロトニンが安定供給されるようになります。

逆に言うと、早食いや、ポテチ・ハンバーグ・ラーメンなどのあまり噛まなくても食べられてしまうものばかりの食生活では、セロトニンが不足してしまいます。
こうした、よく噛まずに食べられてしまうものでも、意識してよく噛んで食べることが大切です。


このように、食べることには実はいろいろな役割があります。
とりわけ、食事によって栄養を補給したり、セロトニンを分泌したりすることで、自律神経がしっかりとはたらけるようになるのですね。

食欲が過剰なとき

1.ストレスが多すぎる

ストレスが多いと、消耗したエネルギーを補給するために食欲が増進するとともに、ストレスを解消するためにセロトニンを求め、食べるという行動に出てしまいます。

2.よく噛んで食べていない

よく噛んで食べないと、早食いになるので、満腹中枢が刺激されるまで必要以上に食べてしまいます。

3.睡眠が不足している

睡眠が不足することで、食欲増進ホルモンのグレリンが増加してしまいます。食べる量が通常時の1.2倍ほどになるとの報告があります。

4.ながら食いをしている

他のことに意識が向いてしまっているために、満腹感が出るのが遅くなり、やはり必要以上に食べてしまいます。

5.水分が不足している

水分が不足すると、足りない水分を食べ物から摂取しようとしてしまうので、食べる量が多くなってしまいます。

6.五感が刺激されている

甘いものや美味しいものを目にしたり、匂いを嗅いだりすることで、食欲増進ホルモンのグレリンが分泌されてしまいます。甘いものを目の届くところに置いておくのは止めましょう。

食欲がないとき

1.ストレスが強い

精神的なストレスなどが強く、交感神経が過剰になっている場合には、副交感神経がはたらきづらくなるため、食欲が湧かなくなります。

2.内臓が疲弊している

病気、夏バテ、妊娠、飲み過ぎ、胃腸の不調などの場合、食べ物を消化吸収することすら負担になってしまうので、食欲が低下します。
具合の悪いペットが、好きなものに見向きもせずうずくまっているように、体を休ませることが先決です。
体の声を聴いて、無理に食べることは控えましょう。


食べることをしっかりマネジメントして、人生を楽しんでいきましょう。